大人になった後の心配をする子ども

高校生たちに、関心のある社会問題について
調べて発表するよう課題を出すことがあるのだが、
保育や地域問題など、身近に感じているテーマを選ぶ子が多い中、
「年金問題」や「定年問題」をテーマに選ぶ子たちが、数人いる。

高校生が、老後に年金をもらえるかどうか心配するのかと驚くが、
聞くと、50年後の自分の生活が安定しているかどうか、 気になるらしい。
今から50年前に、ネットショッピングで買い物する未来や
マッチングアプリで結婚相手を探す未来を予想できた人は ほとんどいないのだから、
いまから50年後の未来を予想しても無意味だろうが、
彼らは、漠とした不安の中、 年金システムの仕組みを熱心に調べている。

他にも、テーマを選ぶ際に、自分自身の将来と関連づけて、
「医療問題」や「教育問題」をテーマに選ぶ子も多いのだが、
そのテーマが、「医者の労働環境問題」や「モンスターペアレント問題」 だったりする。

「労働環境が悪化する地方病院」や「クレームに追われる教育現場」など、
自分たちが将来働くことを想定して それらのテーマを選んだのだろうが、
テーマを選ぶ目線が「大変な患者や子どもたち」に向いているのではなく、
「大変な教師や医者」に向いていることに驚く。

教師や医者になる前の段階で、関心の対象が、 「子ども」や「患者」ではなく、
「未来の自分」に向かっている。
それは「教育問題」や「医療問題」に関心があるというより、
「自分」に興味があるのだろう。
自分の心配をする前に、未来の子どもや病人に目を向けてほしいなと思ってしまう。

ただ、関心が自分へ向いてしまうほど、
高校生たちの心には余裕がないのかもしれない。
人は、自分の身を守る必要がなくなって初めて、他者への思いやりを持つ。
高校生の時点で、大人のように、
「楽しいかどうか」よりも「うまくいくかどうか」を気にするような環境にいるなら、
彼らにとって縁遠いはずの「年金」や「定年」に関心があるのもわかる。

先行きの見えない未来は不安だろう。
しかし、誰にも未来はわからない。
わからないものを不安に思うより、今を楽しんでほしい。
18歳で予測したり計画したことは、ほとんどが的外れだし、
大人が予測するような「あなたが大人になった時」の話も、
同じように的外れなことが多いということも覚えておいてほしい。